




【生薬名】
芍薬(シャクヤク)
【基 原】
神農本草経の中品に収載。ボタン科 Paeoniaceae 白芍 Paeonia lactifla Pall.(シャクヤク)の根の外皮を除去し乾燥したもの
【性 味】
味は酸・苦、性は微寒。 (帰経:肝経)
【主成分】
paeoniflin C22H28O11 ・子宮興奮性成分・ benzoic acid ・ β-sitosterol ・ tannin・精油・脂肪など
【薬理作用】
補血・緩急止痛
鎮痙・鎮痛作用、鎮静作用、抗菌作用、抗真菌作用
このほか臨床的観察によると止汗・利尿などの作用もある。
【臨床応用】
主として柔肝止痛・補血・補陰に用いる。肝脾不和・肝胃不和など肝気鬱結のために生じた腹痛に用いる。
下腹部の不快感・疼痛などをともなう月経不順・不正器出血に用いる。
血虚による四肢の筋肉痙攣に用いる。
肝陰不足による眩暈・耳鳴りなどに用いる。古人は芍薬は、「養肝陰の主薬である」として眩暈・耳鳴り・目がかすむ・肢体のしびれ・筋肉の痙攣・舌質淡白・脈弦細あるいは弦有力などの肝陰虚の症状(慢性肝炎・貧血・高血圧症・動動脈硬化症などでよくみられる。)に広く使用している。
発熱性疾患による脱水に使用する。陰虚で汗が多いものにも使用する。
手足の疼痛、下痢等に用いる。
【用 量】
9〜12g
【詳 細】
芍薬はふっくらとやさしいシャクヤクを意味しています。中国には風姿婚約という言葉があります。顔つきや姿が美しくしなやかで、この花の色香、姿をなまめかしい美女にたとえた表現で、一般には「芍薬美人」ともいいます。また灼耀の意味もあり、輝くような美しさを表しています。
芍薬はむかしから中国の人々にも日本の人々にも親しまれてきました。中国の春秋戦国時代に屈原が著した『詩経』という最古の詩集にも男女の別れに再会を約して送られる植物としてその名が見られ、「二人の男女が仲良くなってたがいに芍薬を贈りあ」いました。日本でも芍薬を顔佳草といい、六軒(持薬、芙蓉、海栗、木樺、梨花、長春の六種類、きれいな花を意味する)の一員に数えあげています。「立てば芍薬…」のたとえもあり、各地で薬用、または観賞用として栽培されています。薬用に使うのは根の部分です。
芍薬は白芍と赤芍の2種類に分けられます。
白芍薬はボタン科の植物シャクヤクの根で、皮をむいて乾燥させたものです。白芍薬は血に栄養を与える働きがあり、月経困難、生理不順、おりもの、立ちくらみに使われています。また主成分のペオニフロリンは鎮痛、鎮静、抗痙璽の作用があり、生理痛、腹痛、胃痛、頭痛、こむら返り、手足の痙撃による唇痛に良く効きます。当帰、川?、地黄、阿膠(ロバからとったにかわ・コラーゲン)などと一緒に配合された当帰養血精は、中国の女性に大変人気があります。白芍を中心とする薬は他に婦人薬としてよく使われる四物湯や十全大補湯などがあります。
中医学では、血の調整と貯蔵は「肝」が行うと考えています。「肝血」がよく流れると、生理が順調にきて、顔もつやつやし、爪も輝き、お肌もつるつるします。芍薬は肝機能の回復を促進しますので慢性肝炎、肝障害にもよく使われています。
血が不足気味の人は「虚熱」(からだの水分などが不足して起こる発熱)が出やすく、のぼせ、寝汗をかく、落ち着きがなく、寝つきは悪く、めまい、頭痛、耳鳴りなどの症状がよく見られます。
現代医学的には、ホルモンバランスのくずれ、更年期障害、交感神経の興奮、精神の緊張、高血圧と所見され、芍薬は効果的です。
一方、赤芍薬はボタン科シャクヤクの根をそのまま乾燥させたものです。
赤芍薬には二つの特徴があります。まず、血に入る熱を冷まし、顔の赤み、目の充血、紅皮症、発疹などを改善します。次に、血の巡りをよくし、ドロドロとした血の塊である「?血」を取り除き、?血による腹痛、生理痛、月経困難、みぞおちの痛み、肩こり、打撲傷、できものなどによく効きます。赤芍薬はペオニフロリン、ペオノール、ペオニン、タンニンなどを含んでおり、心臓の冠状動脈に流れる血液の量を増加させます。
現代人の生活は非常に豊かになり、おいしいものをたくさん食べて体の中に熱がたまりやすくなっています。そのため、血圧が上がって、顔も目も充血しがちです。しかも、運動不足、ストレスなどが加わって、血液はドロドロと粘り気が増して、流れにくくなり、狭心症、動脈硬化が大変多くなっています。これらの疾病・症状に赤芍薬は効果を発揮してくれます。


